夫の変化……。心と身体。


 

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その後の夫の変化は目覚ましいものでした。小さなことで言えば、夫は空港のロビーで、きれいな女性を見て、

その女性に意識が向き、つい目で追い目を追った先に自分とは違う男性の前に座った姿を見て

『このおっさん、ついているな(運良いな)……』いわば羨ましいという感情が出てきたそうです。

 それまでの夫は、きれいな女性を見ても『きれいだな』とは思っても『美術品を観る視点』と似ていたそうです。

 ある晩は、こんなこともありました。たまたま遊びに来ていた、私の姉と息子を交えて外で食事をしました。その晩、姉は、私の家に泊まることになっていました。当時幼かった息子を姉がお風呂に入れてもらっている間のことでした。

夫が明らかに私を見る目がいつもと様子が違うのが分かりました。お酒を飲んだ高揚感も手伝ったのか、突然、『今、したい(セックスが)』と言ってきたのでした。

 そういう状態を見て『これで、もう大丈夫。本当の意味で夫は元に戻った』と、今思えば、安易にも勝手に安心したのでした。

何よりも、女性として、妻として、夫に求められることがこんなにも幸せなことなのかと感じていました。

 ある意味『これで大丈夫』とは、今思えば私の『このままで、いてくれさえすればいい』という、私の単なる願望に過ぎなかったと思います。その願望が後に大変な足かせにもなるのでした。

この時までに性行為の中で、一つだけ気がかりなことがありました。それは、夫がセックスをしても、ほとんど射精をしないということでした。

この一点だけのことが、後々私たちにおいて、とても重要なことになろうとは、正直、その当時は深くは考えていませんでした。

 夫婦としての性行為が少ない中、私の中では、『たまたま、今日は射精しなかった』というようにしか、当時は捉えていなかったと思います。

そこをフォーカスするということは、いくら夫とはいえ伝え方を間違ってでもしたら……?

そもそも、やっと、『その気』になった夫が、以前のようにセックスそのものに意欲が起こらなくなってしまうことへの、不安や恐怖の方が強かったと思います。

何よりも、今までの性行為は、そういう気がない夫をその気にさせて行為に及んでいるわけです。

ゆえに、本能でする行為とは違っていたことも分かっていました。

ですから射精しないということは、ある意味、当然といえば、当然とさえ思っていました。

このように、自ら欲求が起こって行為に及ぶようになれば、いずれ射精もするであろうというふうに、簡単に考えていました。

それが、その後『射精』という、極めてまともな生理現象の一つのことさえも、私たち夫婦にとって簡単に訪れないこと、

そして、その点がもっとも重要なことが、だいぶ時間が経ってから分かることになるのでした。

 



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